トピックス
病理標本作成の全自動化
浦野 順文
1
1神戸大病理
pp.374
発行日 1981年4月1日
Published Date 1981/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202264
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病理の標本作成のための自動化は,他の部門に較べてたいへん遅れている.自動包埋装置は真空吸引することによって有機溶媒体やパラフィンの浸透を速くし,パラフィンに短時間で包埋できるようになった.染色の過程も自動化することができ,頻度の多いヘマトキシリン・エオジン染色はほとんどの施設で,自動染色機を用いて染色している.
更に染色された標本にカバーグラスをかけて封入する過程は自動化が困難とされてきた.この封入の際にはキシロール中の染色された標本を載せたスライドグラスを取り出し,カバーグラスをかぶせるので,どうしてもキシロール蒸気は吸入することになり健康上もよくない.この困難とされていた自動封入機が英国で作られている.簡単のようだが封入剤をカバーグラスの上にたらす,これは多すぎても少なすぎてもいけない.このカバーグラス上に移動してきた標木を載せたスライドグラスに下からカバーグラスを密着させ,軽く押し上げるようにするといった一連の作業が,自動的に行われる.この封入の作業では手でやっても気泡が入りやすく,ちょっとした熟練がいる.これを機械が行うので現在の段階では完全に気泡を除くということは必ずしも容易ではない.また標本の位置をスライドグラスの一定の幅の中にあるように標本をスライドグラスの上に載せないと,カバーグラスが標本を覆うことができない.機械はスライドグラスの一定の場所にしかカバーグラスで覆わない.これは標本を作るときの注意で事足りるし,大きなカバーグラスを用いることで,多少の無駄はあるが補える.
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