特集 細胞診―21世紀への展望
第1章 細胞診―現状の問題点と今後の方向性
7.遠隔細胞診断
土橋 康成
1
,
真崎 武
1
Yasunari TSUCHIHASHI
1
,
Takeshi MAZAKI
1
1京都府立医科大学附属病院病理部
pp.1195-1198
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904531
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
定義と領域
遠隔細胞診断(remote cytological diagnosis),あるいは遠隔細胞診,テレサイトロジー(telecytology)は,ある地点で採取された細胞像の電子化情報が,通信回線を用いて空間的に離れた他の地点に伝送され,そこで再びモニター上に細胞像として表示されたものについて,診断,コンサルテーション,教育,討議などを行う遠隔医療・教育の一分野を指す.このテレサイトロジーは,通常広い意味での遠隔病理診断,テレパソロジー(telepathology)に含めるのだが,組織診断に対して細胞診断(細胞診)があるという整理に立つ場合には,テレパソロジーが扱う領域を組織に限定して考え,それに対する領域として遠隔細胞診を位置付けることとなる.
実はこのような区別を行うことは,テレサイトロジーをより正確に理解するうえで重要である.なぜならば細胞診と組織診断とは,扱う材料の構造上,分布上,染色上,スクリーニングの存否を含む診断方法論上,おおいに異なり,さらにそれらが画像処理上の要求の違いをもたらし,遠隔医療の扱いにおいて,相互に多くの"似ていて非なる要素"を持つことが明らかであるからだ.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.