特集 臨床検査の新しい展開―環境保全への挑戦
Ⅱ.環境問題と疾病
4.大気汚染
1)大気汚染の原因と考えられる有害物質の健康への影響
渡辺 伸枝
1
Nobue WATANABE
1
1東京都立衛生研究所環境衛生科
pp.1297-1305
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904222
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はじめに
ディーゼル車からの排出ガスは,都市部における大気の主要な汚染源の1つである.ディーゼル車からの排出ガスには,そのガス状成分や微粒子画分に,一酸化炭素,窒素酸化物,ベンゾ[a]ピレンをはじめとする多環芳香族炭化水素,ダイオキシン,各種金属など1,000種類以上のさまざまな有害物質を含んでいるとされている.
排気ガスの生体に及ぼす影響に関する研究は,吸入することで排気ガスに曝露されることから,その最初の標的臓器となる肺ならびに呼吸器を中心に行われてきた.また,排気ガスに含まれる粒子状物質は発癌性・変異原性のある物質を吸着していることから,特に排気ガスと発癌の因果関係が問題視されてきた1~4).
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