今月の主題 受容体
話題
レチノイン酸受容体と急性前骨髄球性白血病
北村 邦朗
1
,
直江 知樹
1
Kunio KITAMURA
1
,
Tomoki NAOE
1
1名古屋大学医学部附属病院難治感染症部
キーワード:
レチノイン酸受容体
,
急性前骨髄球性白血病
,
t(15;17)染色体転座
Keyword:
レチノイン酸受容体
,
急性前骨髄球性白血病
,
t(15;17)染色体転座
pp.889-891
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903806
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1.はじめに
白血病においては,臨床型に応じて極めて特徴的な染色体転座が認められ,病型のマーカーになっており,染色体転座部位には病因と深いかかわりのある遺伝子が存在すると考えられている.レチノイン酸(all-trans retinoic acid;ATRA)による急性前骨髄球性白血病(acute promyelocyticleukemia;APL)に対する分化誘導療法は,まず臨床上の有効性が中国から報告され1),これが契機となってAPLに特徴的な染色体転座t (15;17)の分子解析へと発展した.t (15; 17)転座は,PML遺伝子とレチノイン酸受容体(retinoic acidreceptor; RAR)α遺伝子間の再構成であり,その結果生じるキメラ蛋白PML-RARαは,細胞分化を抑制し増殖を促進する.レチノイン酸による分化誘導療法は,この分子を標的にした画期的な分子標的療法でもあり分化ブロックの解除に働く2).
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