特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅰ.生化学・遺伝子
5.瀬川病
瀬川 昌也
1
Masaya SEGAWA
1
1瀬川小児神経学クリニック
pp.1250-1256
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903469
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はじめに
瀬川病は,筆者らが最初に報告した,Lドーパが奏効する姿勢ジストニーで1,2),その症状が午後から夕方にかけ増悪,睡眠をとることにより著明に改善するという日内変動を呈することを特徴とする.浸透率の低い優性遺伝をとるが,女性優位(4:1)の性差を有する3).髄液ビオプテリンとともにネオプテリンが低下していることから,GTPシクロヒドラーゼI (GCH―I)の欠損によるテトラヒドロバイオプテリン(BH 4)の欠乏がその原因として推察されていたが4,5),GCH-Iの遺伝子が決定されたことから,候補遺伝子解析がなされ,瀬川病が14q22.1-q22.2に位置するGCH-I遺伝子の異常に起因する疾患であることが明らかにされた6).
一方,Nygaardら7)により提唱されたドーパ反応性ジストニー(DRD)は,当初,Lドーパに反応するジストニーを網羅する幅の広い概念であったが,後に症例が精選され,厳密な定義に基づいたDRD8)は瀬川病と同一疾患と考えてよい.
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