今月の主題 母子医療と臨床検査
巻頭言
母子医療の課題
中林 正雄
1
Masao NAKABAYASHI
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.731-732
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903357
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最近の母子医療の進歩は目覚ましいものがあります.母体管理,胎児・新生児管理などが連続して行われるようになり,現代の日本の妊婦さんは世界でも恵まれた環境にあると言えましょう.母子医療の最大の課題である母体死亡は年々減少し,10万分娩に6.9人と世界最低レベルにまで低下してきました.一方,胎児・新生児死亡の合計である周産期死亡率も世界に類を見ないまでに減少してきており,妊娠28週(出生体重約1,000g)以上では,1,000分娩に5.0を切るまでに減少しており,出生体重500~1,000gの超未熟児であってもその生存率は80%近くに向上しています.
一方,少産少子化の現在,新しい問題も出てきています.出産年齢の高齢化に伴うハイリスク妊娠,合併症妊娠の増加です.また,胎児に関する情報が増加するに従い,それに対応する治療が検討されつつありますが,そこには当然倫理的問題もクローズアップされてきています.
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