特集 在日外国人母子のケア
「内なる国際化社会」の現状と母子保健・医療の課題
李 節子
1
1東京女子医科大学看護短期大学(母性看護学)
pp.623-634
発行日 1994年8月25日
Published Date 1994/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901072
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はじめに
近年,「国際」という言葉が頻繁に使われています。「国際化」「国際社会」「国際貢献」「国際交流」「国際的」「国際感覚」などです。事実,この数年間の国際化の流れはめざましく,海外へ出かける日本人,入国する外国人が急増し,また,日本に定住する「外国籍住民」も増えています。日本国内における「人」の国際化は,確実に急激に進んでいます。しかし,その変化に社会が十分対応しているとは言えず,足元である「内なる国際化社会」には,さまざまな課題が残されているように思われます。今,「国際化」の真の意味と,現状を問い直す必要があるのではないでしょうか。
具体的には法的整備とともに,外国人の基本的人権の保障,福祉,保健,医療の改善などです。母子保健・医療の分野でも外国人の受診者が増加し,さまざまな問題が提起されています。なかでもこれまでになかった「新しい外国人」すなわちニューカマー,「不法在留」「資格外就労」(以下オーバーステイ)の問題がクローズアップされています。
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