特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
序
血栓症と血小板凝固線溶系検査
池田 康夫
1
Yasuo IKEDA
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.7-8
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903060
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- 文献概要
止血機構は生体の持つ精緻な防禦反応の1つであり,その分子機構が詳細に解明されつつあるが,先天性出血性疾患の病態の理解がこれに大きく貢献している.止血のための血栓形成は血管損傷部位に露出した血管内皮下組織への血小板の粘着に始まり,それに続く,血小板凝集と血小板や内皮細胞表面でのフィブリン形成により完結する.この一連の反応は決して行き過ぎることはない.すなわち,血栓形成過程が継続し,血管内腔を閉塞するような大きな血栓を形成することは決してないのである.そこでは,血栓形成の方向,大きさなどを規定し,制禦する機構が働いており,プロテインC・トロンボモジュリン系,アンチトロンビンIIIなどの血液凝固制禦因子の重要性が既に指摘されているほか,血流がもたらす物理的因子,内皮細胞因子などもまた深く関与していると考えられる.
本号では"血栓症と血小板凝固線溶系検査"として,病的血栓形成をめぐる臨床検査について特集が組まれている.
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