コーヒーブレイク
人の心の薄氷
屋形 稔
1
1東新潟病院
pp.994
発行日 1994年9月15日
Published Date 1994/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902086
- 有料閲覧
- 文献概要
今年も春の彼岸がやってきた.雪の下で冬を越した墓を水で清めて剪り花を供えると,死者も眼前に蘇ったようである.しかし墓はものを語らない.生者の心の中でそれぞれに無言の会話をするだけである.
この正月に郷里で一緒に村の小学校を出た仲間の同級会があった.10年ぶりであったがその間にちょうど10人が鬼籍に入ったのを知り,残った男たちは顔を見合わせた.悲しみより一種複雑な心境であった.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.