連載 やさしい社会保障 政策はだれのもの?・6
人の心も花火で買える
八神 敦雄
1
1厚生労働省雇用均等・児童家庭局
pp.534-536
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100129
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花火をあげる
新潟県の片貝町(現在は小千谷市)は,世界最大の4尺玉の花火を打ち上げることで有名な町だ。かれこれ10年も前の話になるが,地元出身の友人に誘われて花火大会を見に行ったことがある。今でこそ観光ツアーもあるこの大会だが,もともと町のための祭りであることは,何曜日に当たろうが必ず毎年9月9日~10日に開催日を決めていることからも判る。地元民はたとえ盆暮れには帰省しなくとも,この日には帰ってくるのだ。
なだらかな斜面に桟敷席をしつらえた大会会場には,中心に舞台が据えられている。小ぶりな打ち上げ花火から始まって,だんだんとクライマックスに向けて大物へ,と相撲の番付表のような進行表が配布され,その1つひとつの花火に町内放送を使って説明が入る。「次は尺玉三連発。助作じいちゃん米寿おめでとう,いつまでも元気でね。田中家孫一同」…ズドォォン,という具合だ。
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