学会だより 第58回日本循環器学会総会
21世紀の循環器診療を目指して
小川 聡
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
pp.680
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902001
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1994年3月28日から30日の3日間にわたり,第58回日本循環器学会総会が春見建一会長(国立療養所中野病院長)のもとで新宿の京王プラザホテルで開催された.本学会はわが国における循環器病学の基礎と臨床の専門家が一同に会して最新の研究成果を討議する国内最大規模の学会である.今回は交通の便が良いこともあり,会期中約8千人の参加者が集まり,会場一杯に熱気ある討議が行われた.
シンポジウム4題,パネルディスカッション2題,ファイアサイドカンファレンス7題のほか,外国人招待者による特別講演も組まれていた.シンポジウムでは"ストレスと突然死","Trans-catheter Diagnosis","不整脈研究の最前線","成人の先天性心疾患の予後と外科治療"が取り上げられた.特に,"ストレスと突然死"ではこれまで一般的に"ストレス"が突然死の発生に関与していることは推測されていたが,心筋梗塞例の退院後のストレスを細かい因子に分けて経時的に分析したところ,短期的なストレスではなく,むしろ患者のQOLにかかわる慢性的ストレスが突然死や心事故の発生に重要であることを示した発表が注目された.また,"Trans-catheter Diagnosis"では血管内視鏡,冠動脈内エコー法,心内膜生検法の有用性と限界が論じられた.
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