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コレラ菌の赤血球凝集素/プロテアーゼ
多賀 賢一郎
1
,
本田 武司
2
1神戸検疫所輸入食品・検疫検査センター
2大阪大学微生物病研究所
キーワード:
コレラ菌
,
赤血球凝集素/プロテアーゼ
,
定着
,
離脱
Keyword:
コレラ菌
,
赤血球凝集素/プロテアーゼ
,
定着
,
離脱
pp.1150
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901717
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コレラ菌の産生する赤血球凝集素/プロテアーゼ(hemagglutinin/protease; HA/P)は分子量46,700の細胞外蛋白質で,赤血球凝集活性とメタロプロテアーゼ活性を併せ持つ"bifunctional"な物質である.HA/Pの基質としてはムチン,フィブロレクチン,ラクトフェリン,コレラ毒素のAサブユニット,そしてエルトール溶血毒などが報告されている1,2).このようにHA/Pにはコレラ毒素やエルトール溶血毒を活性化させる作用を有し,コレラ菌の1つの病原因子として有力な候補であるとされている.多くの研究者が,Vibrio cholerae O1そしてnon-01のHA/Pの精製や性状解析について報告している.最近HA/P遺伝子のクローニングがなされ,全塩基配列が決定された3).
HA/Pの病原性について古くから研究しているFinkelsteinら1)は,HA/P産生株と遺伝子組換えによって作られたHA/PA/p変異株(非産生株)との幼弱ウサギに対する病原性の違いを比較し,さらに組織培養されたヒト腸管上皮細胞に対する定着性についても検討している.
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