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痴呆症の診断に眼球運動の検査
藤井 充
1
,
深津 亮
1
,
高畑 直彦
1
,
山田 光穂
2
1札幌医科大学神経精神医学教室
2ATR視聴覚機構研究所
キーワード:
痴呆症
,
アルツハイマー病
,
眼球運動
Keyword:
痴呆症
,
アルツハイマー病
,
眼球運動
pp.1377-1379
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901374
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欧米諸国と同様に本邦でも高齢化社会を迎え,急速に増加した痴呆老人は医学のみならず,社会的にも大きな関心を集めている.アルツハイマー病(AD)は"世紀の病"とも称され,基礎および臨床の場で世界の研究者の注目を集めている代表的な痴呆疾患である.その臨床像の特徴は記憶障害,健忘に加えて初期から特有の視空間認知障害など高次神経機能の障害を示すことにある1).
一方,ADの臨床像の背景をなす大脳の責任病変部位は,核医学診断法などの画像診断,神経心理学的検査などから頭頂葉を中心とした後方連合野であることが明らかにされてきた.頭頂葉を中心とした脳領域は視覚情報の統合処理に重要な脳部位であり,同領域が障害されるADでは種々の視覚認知障害が出現することに着目して,視覚構成課題を遂行している時の注視運動を新しく開発された眼球運動分析装置,頭部運動検出装置などを用いて解析してきた.その結果ADに特徴的ないくつかの新しい所見が認められた.以下にその研究の概要を記す.
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