特集 遺伝と臨床検査
III 染色体異常の診断
2.末梢血の各種染色体分染法
1) G分染法
家島 厚
1
Atsushi IESHIMA
1
1鳥取県立皆生小児療育センター小児科
pp.127-130
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901293
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●はじめに
染色体検査法の進歩により,原因不明の奇形症候群や精神遅滞の原因解明がなされてきた.ギムザ染色のみで検査がなされた1960年代にはDown症候群や18トリソミーなど数の異常が次々と発見されたが,染色体分染法が開発された1970年代には,新しい部分トリソミー,部分モノソミーなど構造異常がだいたい出揃った.すでに1番から22番までのすべての染色体異常が報告され,原因不明の精神遅滞をみたら,染色体異常を疑う必要があるくらい染色体検査は一般化している.
染色体分染法の意義は,個々の染色体が正確に同定され,主要なバンドパターンを確認できることである.1971年パリ会議で,Qバンド,Gバンド,Rバンド,Cバンドなどの命名法が決定された.染色体分染法として,Qバンド法1)が初めて報告されたが,蛍光顕微鏡を必要とすること,Gバンドで永久標本が得られることより,本邦ではGバンド法が最も普及している.現在では,日本中のどこからでも依頼できる検査として,染色体分染法は,臨床医学の中で定着している.G分染法については,現在までに数多くの方法が報告され,各施設での変法まで入れると数え切れないほどの方法がある.染色体標本の作製法や保存方法,保存期間などにより条件が変化するため,生化学検査のように条件が一定しない.本稿では,おおまかな歴史に触れ,われわれの行っている方法を紹介したい.
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