特集 遺伝と臨床検査
II DNA診断
2.DNA診断の応用
5)乳酸脱水素酵素Mサブユニット欠損症
前川 真人
1
,
菅野 剛史
1
Masato MAEKAWA
1
,
Takashi KANNO
1
1浜松医科大学臨床検査医学
pp.103-109
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901289
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●はじめに
乳酸脱水素酵索(LDH)は,H (B)とM (A)の2種のサブユニットから成る4量体であり,5種類のアイソザイムを形成する.これらのサブユニットの欠損症がHは北村らにより,Mは菅野ら1)により報告された.LDHアイソザイムパターンは図1に示したごとく,非常に特徴的である.Mサブユニット欠損症発見の発端は激しい運動後のミオグロビン尿症であった.その後,4家系が本邦においてのみ報告されている.第2家系は頻度推定のマススクリーニング2),第3家系は腎障害患者3),第4家系は全身倦怠感の患者4),第5家系は皮膚の発疹の患者5)であった.日常は皮疹がある場合以外は特に症状はなく,潜在性症候性と言える.血清LDH活性も通常は正常域であることに注意したい.
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