今月の主題 赤色尿
病態解説
溶血性尿毒症症候群
五十嵐 隆
1
Takashi IGARASHI
1
1東京大学医学部附属病院分院小児科
キーワード:
腸管出血性大腸菌
,
ベロ毒素
,
急性腎不全
,
急性脳症
Keyword:
腸管出血性大腸菌
,
ベロ毒素
,
急性腎不全
,
急性脳症
pp.993-997
発行日 1992年9月15日
Published Date 1992/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901211
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下痢に続発する溶血性尿毒症症候群(HUS)の主たる原因は,先進諸国では現在,ベロ毒素(VT)を産生する腸管出血性大腸菌(VTEC)感染である.ベロ毒素は腎や脳の血管内皮のレセプターと結合し蛋白合成を阻害して血管内皮障害を生じ,急性腎不全や急性脳症を引き起こす.HUSの起因菌となるVTECの血清型はわが国では大半がO 157:H 7で,一部O 26やO 111が占める.VTEC感染の診断は便培養によるVTECの証明が最も確かな方法であるが,血清中の抗VTEC抗体と抗VT抗体の上昇によっても推定することが可能である.〔臨床検査36(9):993-997,1992〕
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