今月の主題 溶血性尿毒症症候群(HUS)
総説
病原性大腸菌と溶血性尿毒症症候群
本田 武司
1
Takeshi HONDA
1
1大阪大学微生物病研究所細菌血清学部門
キーワード:
病原性大腸菌
,
Vero毒素
,
溶血性尿毒症症候群
,
腸管出血性大腸菌
Keyword:
病原性大腸菌
,
Vero毒素
,
溶血性尿毒症症候群
,
腸管出血性大腸菌
pp.1317-1322
発行日 1992年12月15日
Published Date 1992/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901358
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
大腸菌は正常腸内細菌叢を構成するが,一部の特殊な病原因子産生能を獲得した大腸菌は病原性大腸菌あるいは下痢原性大腸菌と総称される.これらの大腸菌はその病原性発現機構に基づいてenteropathogenic E. coli(EPEC),enteroinvasive E. coli(EIEC),enterotoxigenic E. coli(ETEC),enterohemorrhagic E. coli(EHEC)およびenteroaggregative E. coli(EAEC)の5つのカテゴリーに分類される.これらのうちEHEC(腸管出血性大腸菌)は出血性大腸炎の原因菌として1983年に発兄され,Shigella dysntriae 1の産生するShiga toxinと同一ないし類似毒素(Vero毒素:VT 1およびVT 2)を産生する.本菌感染症で問題となる合併症に溶血性尿毒症症候群(hemolytic-uremic syndrome;HUS)があり,死に至る例もあるので注意が必要である.〔臨床検査36(13):1317-1322, 1992〕
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.