Japanese
English
今月の主題 Helicobacter pyloriの診断と臨床応用
話題
Helicobacter pyloriと特発性血小板減少性紫斑病
Helicobacter pylori and idiopathic thrombocytopenic purpura
藤村 欣吾
1,2
Kingo FUJIMURA
1,2
1広島国際大学薬学部病態薬物治療学講座
2広島赤十字原爆病院総合内科
キーワード:
idiopathic thrombocytopenic purpura
,
Helicobacter pylori
,
eradication
,
molecular mimicry
Keyword:
idiopathic thrombocytopenic purpura
,
Helicobacter pylori
,
eradication
,
molecular mimicry
pp.187-191
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102235
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1.はじめに
特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)は主として皮膚や粘膜の紫斑を主体とする出血症状を示す後天性の血小板減少症である.厚労省「血液凝固異常症に関する調査研究班」における平成18年度のITP臨床個人調査表によると,慢性に経過するいわゆる慢性型は成人に多く,特に女性が男性の2.5倍多い.新患発生は人口10万人当たり1.88人,罹病患者は人口10万人当たり13.21人で新規発症症例の年齢分布は男女とも26~31歳と,さらにより大きなピークを51~80歳に認め,罹病症例では51~75歳に大きなピークを示し,ITPは昭和40年台に比し,中高年齢者に多い疾患に様変わりしている1).
本症の発症には血小板膜に対する自己抗体が産生され血小板が破壊されることによる免疫性血小板減少機序が関与することが明らかにされてきた.それに伴ってITPの治療は副腎皮質ステロイドを中心とした免疫抑制療法や血小板破壊場所,ならびに抗体産生の中心的役割を果たす脾臓の除去(摘脾療法)が定着している.
一般に自己免疫現象の引き金は不明であるが,最近感染症がその候補になっている事例があり,ITPの一部においてはHelicobactor pylori(H. pylori)感染が病態に関連している可能性が示唆され,多くの知見が報告されている.
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