特集 アレルギーと自己免疫
I.免疫機能―最近の進歩
6.アレルギーの成立
4)好酸球
福田 健
1
,
阿久津 郁夫
1
,
真島 恵子
1
Takeshi FUKUDA
1
,
Ikuo AKUTSU
1
,
Keiko MAJIMA
1
1獨協医科大学アレルギー内科
pp.63-65
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900801
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はじめに
好酸球は正常な状態では末梢血白血球の5%以下を占めるにすぎないが,寄生虫症,アレルギー性疾患,ある種の皮膚疾患,悪性腫瘍,血液疾患では増加する.これらの疾患では組織中の好酸球数も増加し,例えば寄生虫症では侵入した虫体の周囲に,代表的なアレルギー疾患の気管支喘息では気管支壁に著しい好酸球の集積を認める.好酸球には特異顆粒と呼ばれる大きな顆粒が多数存在し,ここに寄生虫傷害作用のある蛋白・酵素が存在する.ゆえに,好酸球の本来の機能は寄生虫感染に対する防御と考えられている.
一方,これらの蛋白・酵素は自己の組織や細胞に対しても傷害性を示す.また,好酸球は刺激によりロイコトリエン(LTC4)や血小板凝集因子(PAF)などの炎症性メディエーターも産生・遊離する,このようなことから,アレルギー性疾患での好酸球の役割は,以前考えられていた"炎症の火消し役"とは反対に,"炎症の惹起,増悪"との見方が一般的になってきている.
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