今月の主題 免疫不全
カラーグラフ
免疫不全症の病理
玉置 憲一
1
,
里 悌子
1
Norikazu TAMAOKI
1
,
Teiko SATO
1
1東海大学医学部病理学教室
pp.106-108
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912873
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免疫不全症は,原発性および続発性の二種に大別されるが,前者は,遺伝的要因が強く,その障害部位が免疫幹細胞レベルであるもの,あるいはT細胞,B細胞,食細胞などであるものに細分される(図1).一方,続発性では,白血病などの血液疾患や,抗癌剤・放射線療法の副作用として出現してくるもののほか,AIDSのような感染に起因するものも注目される.後者の場合には,すべての系統の免疫機能が荒廃することが多い.しかし,どの型の免疫不全症にあっても免れえないのは感染症であり,図4〜7に掲げるように,サイトメガロウイルス,Pneumocystis caninii,真菌などの病原体による重篤な感染症が死因となることが多い.宿主の免疫機能低下のため,通常の細菌に対しても乏反応性あるいは無反応性炎症像を呈することが特徴的である.またWiskott-Aldrich症候群をはじめとする一部の免疫不全症では,リンパ網内系の悪性腫瘍の合併が高頻度であり,これも重要な死因となっている.
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