特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド
序文
大久保 昭行
pp.1268-1269
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900312
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遺伝子工学の発展により,蛋白質や生理活性ペプチドをDNAレベルで解明することが可能となり,微量の生理活性成分の分子構造が明らかにされつつある.また,生理機能や細胞機能が分子レベルで解明されようとしている.水・電解質代謝の分野では,レニン,心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP),エンドセリン,脳性ナトリウム利尿ペプチドなどの生理活性因子の分子構造が,わが国の学者の努力で明らかにされた.また細胞膜のレセプターの解明も進み,電解質も含めて細胞膜での物質移送のメカニズム,細胞機能の制御機構が分子レベルで理解されようとしている.
他方,分析技術の発達と測定機器の開発も進み,従来は測定が困難であった生体内成分も測定できるようになった.例えば,モノクローナル抗体を使用した,radioimmunoassay(RIA),radioimmunometric assay(RIMA),enzyme immunoassay(EIA),enzymelinked immunosorbent assay(ELISA)などの高感度イムノアッセイ法が開発されて,微量なホルモンや生理活性物質の測定が可能となり,原子吸光分析技術の進歩により微量金属を臨床検査で測定するようになりつつある.その結果,これまで不明であった種々の病態が明らかになり,検査データを基に合理的な治療が可能となった.
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