特集 電解質と微量元素の臨床検査ガイド
総論
1 代謝と生理
1)水
長坂 昌一郎
1
,
斉藤 寿一
1
Shoichiro NAGASAKA
1
,
Toshikazu SAITO
1
1自治医科大学内分泌代謝科
キーワード:
飲水
,
抗利尿ホルモン
,
バゾプレッシン
,
尿量
,
血漿浸透圧
,
循環血液量
Keyword:
飲水
,
抗利尿ホルモン
,
バゾプレッシン
,
尿量
,
血漿浸透圧
,
循環血液量
pp.1274-1280
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900313
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
水代謝の生理
1.水の分布と出納
1)水の分布
人間の体内に含まれている水は,体重の約60%を占める.この比率は乳幼児では若干高く,老人では低い.また肥満者など脂肪組織の割合の大きいものでは,この比率は低く,また女性では男性よりも低い.このように水の占める割合には若干の個体差があるが,各個体についてみると,恒常性維持機構によりほぼ一定に保たれている.
体内の水は,細胞内液と細胞外液に大別される.細胞内液は体重の40%を,細胞外液は体重の20%をそれぞれ占める.細胞外液はさらに,血漿(水)と,組織間液(間質液)に分けられる(表1).細胞内・外液の浸透圧(osmolality)はいずれも,およそ290mOsm/kgH2Oである.これは,細胞内外の水が,細胞膜を介して速やかに移動するためである.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.