検査法の基礎
常在菌と病原菌—[2]腸管
安達 桂子
1
,
稲松 孝思
2
1東京都老人医療センター研究検査科
2東京都老人医療センター感染症科
pp.430-435
発行日 1990年5月1日
Published Date 1990/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900120
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サマリー
腸管感染症の原因となっている細菌の検索を主目的に糞便の培養が行われるが,腸管内には健康状態においても多数の菌種が定着して腸内菌叢(フローラ)を構成している.糞便中にどのような菌種が検出された場合にそれを起因菌として扱うか,培地上で腸内菌叢が発育するため,目的とする病原菌を確実に検出するにはどのような選択培地を用い,培養,同定上どのような点に注意を払うか,という知識が必要である.また,極度に免疫機能の低下した宿主においては,健常人では腸管内に定着してはいるが病原性を発揮しない菌種が,敗血症の原因菌となることがある.これを事前に予測する目的で糞便中の菌種構成の検討が必要な場合があり,監視培養といわれる.本稿では,これらの点について概説した.
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