増大号 AKI・CKDの診断・治療に臨床検査を活かせ
3章 腎疾患と臨床検査
CKD-MBDの見方(Ca,P,Mg)
濱野 高行
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科腎臓内科
キーワード:
副甲状腺ホルモン
,
PTH
,
線維芽細胞増殖因子23
,
FGF23
,
1,25-水酸化ビタミンD
,
1,25(OH)2D
Keyword:
副甲状腺ホルモン
,
PTH
,
線維芽細胞増殖因子23
,
FGF23
,
1,25-水酸化ビタミンD
,
1,25(OH)2D
pp.444-448
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203582
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はじめに
高リン血症や二次性副甲状腺機能亢進症などの検査値異常を呈している患者では,腎性骨症だけでなく,血管石灰化などの軟部組織の石灰化が生じ,これらが原因となって骨折や心血管イベント,さらには死亡というアウトカムにつながるという全身疾患概念(シンドローム)を慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に伴うミネラル骨代謝異常(CKD-mineral and bone disorder:CKD-MBD)という概念で捉えるようになった.
この概念は国際的腎臓病ガイドライン機構(Kidney Disease Improving Global Outcomes:KDIGO)によって2006年に提唱され,すでに10年以上経過した.もともと透析期において提唱された概念であるが,実は保存期にその黎明がある.非常に進展したCKD-MBDに対して透析期になってから対処するよりも,保存期のうちにその程度を評価し,その対策を早めに講じることは,透析が不可避なstage4以上の患者では大切なことであろう.例えば,石灰化病変がもともと全くみられない患者の石灰化進展速度は遅いが,すでに血管石灰化が進展している患者では,その進展速度は速い.実際,血管石灰化病変に関しては,心血管イベントの既往のあるCKDあるいは糖尿病合併CKDでは簡単にみつけることができ,それらが透析導入されてからの基点病巣(nidus)になることは想像に難くない.
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