増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか
4章 凝固
直接経口抗凝固薬(DOAC)使用時の凝固関連検査の乖離(AT活性およびPS活性検査試薬)
森下 英理子
1,2
1金沢大学大学院医薬保健学総合研究科保健学専攻病態検査学講座
2金沢大学附属病院血液内科
キーワード:
直接経口抗凝固薬
,
DOAC
,
直接トロンビン阻害薬
,
DTI
,
直接活性型第Ⅹ因子阻害薬
,
直接Ⅹa阻害薬
,
凝固時間法
,
合成基質法
Keyword:
直接経口抗凝固薬
,
DOAC
,
直接トロンビン阻害薬
,
DTI
,
直接活性型第Ⅹ因子阻害薬
,
直接Ⅹa阻害薬
,
凝固時間法
,
合成基質法
pp.1220-1223
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203140
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はじめに
直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)は2011年に初めてわが国に導入され,現在までに4種類が使用可能となっている.DOACは標的因子の違いから直接トロンビン阻害薬(direct thrombin inhibitor:DTI.ダビガトラン)と直接活性型第Ⅹ因子(factor Ⅹa:FⅩa)阻害薬(リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン)に分類される.DOACの作用機序からもわかるように,本剤は一般的に使用されているグローバルな凝固時間〔プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)〕や1),アンチトロンビン(antithrombin:AT)・プロテインC(protein C:PC)・プロテインS(protein S:PS)などの凝固阻止因子活性やループスアンチコアグラントなどの凝固検査に影響を及ぼす2,3).特に血栓症の原因精査の際,すでにDOACを内服している場合は,DOACの種類や測定法によっては凝固阻止因子活性値が偽高値となり,欠乏症の診断を見落とす可能性があるため,十分にその影響について熟知しておく必要がある.
本稿では,特にAT活性とPS活性に及ぼすDOACの影響について自験例を含めて紹介する.
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