増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか
3章 フローサイトメトリー
系列同定が悩ましい白血病細胞・リンパ腫細胞
池本 敏行
1
1滋賀医科大学医学部附属病院検査部
キーワード:
慢性リンパ性白血病
,
CLL
,
leukemic non-nodal MCL
,
CD200
,
LEF1
,
SOX11
Keyword:
慢性リンパ性白血病
,
CLL
,
leukemic non-nodal MCL
,
CD200
,
LEF1
,
SOX11
pp.1188-1191
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203132
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はじめに
成熟B細胞腫瘍の表面形質による細胞同定には,汎B細胞抗原であるCD19やCD20,CD22に加えてCD5やCD10,CD23,CD200などが利用され,リンパ腫細胞の同定には免疫組織染色による細胞内抗原も利用される1).成熟B細胞腫瘍の病型分類にはCD5とCD10の発現検索が有効であり,CD5+B細胞腫瘍には慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia:CLL)とマントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)があり,通常CLLはCD5+CD23+,MCLはCD5+CD23−として区別されるがCD23を発現するMCLがある(表1)1).転写因子のLEF1(lymphoid enhancer-binding factor1)もCLLに特異性が高いとされるが,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)やgrade 3の濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma:FL)でも陽性になる症例がある(表2)2,3).表面抗原の発現量の違いもCLLと他の成熟B細胞腫瘍を鑑別する重要な情報であるが,CLLには非典型例も多く3),特に白血化あるいは骨髄浸潤したMCLとCLLの鑑別には苦慮することがある.
本稿では特にCLLと白血化/骨髄浸潤したMCLの鑑別方法について述べる.
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