特集 知っておくべき!モノクロな薬たち(注:モノクローナル抗体の話ですよ〜)
【第2部 これは知っておきたい!モノクロな薬たち(腫瘍性疾患)】
❻白血病に使用されるモノクローナル抗体—イノツズマブ オゾガマイシン、ブリナツモマブ
藤本 亜弓
1,2
1島根大学医学部 血液・腫瘍内科学
2がん研究会がん研究所 分子標的病理プロジェクト
キーワード:
慢性リンパ性白血病
,
急性リンパ性白血病
,
抗体-薬物複合体
,
二重特異性T細胞誘導抗体
,
サイトカイン放出症候群
Keyword:
慢性リンパ性白血病
,
急性リンパ性白血病
,
抗体-薬物複合体
,
二重特異性T細胞誘導抗体
,
サイトカイン放出症候群
pp.708-711
発行日 2023年6月15日
Published Date 2023/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204329
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CASE
ブリナツモマブにより同種造血幹細胞移植が実施できた前駆B細胞急性リンパ性白血病
患者:30代、女性。全身倦怠感、発熱、骨痛を主訴にかかりつけ医を受診。当初は感冒が疑われ、解熱鎮痛薬を内服していたが、症状の改善がなく再受診した。血液検査で末梢血中に芽球を認め、血液内科へ紹介となった。骨髄検査の結果、フィラデルフィア染色体陰性の前駆B細胞急性リンパ性白血病と診断し、多剤併用化学療法での治療を開始した。寛解導入療法後に骨髄検査で完全寛解を確認し、治療経過は良好であったが、その約3カ月後に原病の再発を認めたため、治療をブリナツモマブへ変更。投与開始後2日目に38℃以上の発熱を認めたが、対症療法で対応可能であった。悪寒や血圧低下は生じず、見当識障害やけいれんなどの神経症状も認めなかった。計2サイクル実施し、再度完全寛解となり、臍帯血移植を実施した。移植後の経過は良好で、現在も無病で生存している。
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