増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック
Ⅷ 術後・処置後
眼底検査後
川本 進也
1
,
小関 紀之
2
1獨協医科大学埼玉医療センター腎臓内科
2獨協医科大学埼玉医療センター臨床検査部
pp.568-569
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201603
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病態
眼底検査(蛍光眼底造影検査)に用いられる造影剤(色素)にはフルオレセインとインドシアニングリーンの2つがあり,特殊なフィルターを通した光を当てると蛍光を発する性質を用いて眼底カメラで連続して撮影する.青色光または赤外光フィルターを通して眼底を照明し,造影剤(色素)から発した蛍光だけを撮影し,血管内の血液の流れの状態や,通常の眼底検査では発見が困難な病変を詳しく調べることができるため,糖尿病性網膜症や網膜静脈閉塞症,加齢黄斑変性などの診断には欠かせない,眼科で頻用されている検査である.血管内に投与されたフルオレセインは急速に全身の血管および血管外腔に拡散し,粘膜と皮膚は1分以内に染色され,皮膚は黄緑蛍光色に染色される.これは網膜と中枢神経系の血管を除いてすべての血管から色素が漏れ出るためである.投与された色素は血管内で急速に希釈され,2〜3回目の再循環でほとんど認められない濃度になる.
フルオレセインは肝で代謝され,大部分は尿中から排泄される.フルオレセインは腎に対して薬理作用を有さないため,腎障害では禁忌ではなく,肝障害では控えるとされている.通常尿に流れてこない物質であるフルオレセインが大量に流れてきた場合は尿細管上皮細胞が再吸収を行い,閾値を超えてしまうほど再吸収を行った場合は,破綻して尿細管基底膜から剝離し尿中に漏れてしまう.
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