今月の主題 カルシウム・リン・ビタミンDの再評価
巻頭言
カルシウム・リン・ビタミンDの温故知新
北島 勲
1
Isao KITAJIMA
1
1富山大学大学院医学薬学研究部臨床分子病態検査学講座
pp.947-948
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102750
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血中カルシウム濃度は,人種,性,年齢を超えて厳密に調整されている.副甲状腺ホルモン,カルシトニン,ビタミンDがカルシウム代謝調節にかかわる主役であることは古くから知られていた.そこでカルシウム・リン代謝について,まず総合的に理解を深めていただくために竹内靖博先生に現状を俯瞰していただき,引き続き,岡野登志夫先生には,ビタミンDの基礎的知識を深める目的でその基礎と臨床につきご執筆いただいた.
血中カルシウム濃度と副甲状腺分泌の間にはネガティブフィードバック機構が存在することより,生体におけるカルシウム濃度の変化を感知する仕組みが注目されている.この新しいカルシウム・リン代謝調節機構の理解には,Brownら(Nature 366巻,6455号,1993)により発見された甲状腺カルシウム感知受容体(calcium sensing receptor;CaSR)とCASR遺伝子異常によるカルシウム代謝異常発症機構を知ることが重要である.CaSRはカルシウム代謝を再評価するきっかけとなった.そこでCaSRと病態とのかかわりについて,難波範行先生・大薗恵一先生に最近の知見を中心にまとめていただいた.また,カルシウム・リン・ビタミンDの病態生理と検査の関連を,山内美香先生,田中弘之先生,道上敏美先生,田井宣之先生に臨床の立場から執筆していただいた.
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