Japanese
English
今月の主題 糖尿病の病態解析
話題
アディポサイトカイン
Adipocytokine
山内 敏正
1
,
門脇 孝
1
Toshimasa YAMAUCHI
1
,
Takashi KADOWAKI
1
1東京大学大学院医学系研究科,糖尿病・代謝内科統合的分子代謝疾患科学講座
キーワード:
adiponectin
,
MCP-1
,
macrophazes
Keyword:
adiponectin
,
MCP-1
,
macrophazes
pp.1048-1054
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102390
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1 . はじめに
肥満はインスリン抵抗性を基盤としてメタボリックシンドローム・糖尿病をきたし,本邦の死因の上位を占める心血管疾患(心筋梗塞,脳梗塞など)の主要な発症・増悪の原因の1つになっていると考えられる.したがって,肥満とインスリン抵抗性の原因の解明とそれに立脚した予防法や治療法の確立が糖尿病・心血管疾患予防のために極めて重要である.
肥満がインスリン抵抗性を惹起するメカニズムは長らく不明であった.インスリン抵抗性や心血管疾患の原因となる肥満は,もっぱら脂肪細胞肥大によって生ずると考えられる(図1)1,2).脂肪細胞は余剰のエネルギーを中性脂肪の形で貯蔵するという従来から知られている機能に加えて,レプチンを筆頭にTNFαやFFAなど種々の生理活性分子“アディポカイン”を分泌する内分泌器官としての機能を有することが知られるようになり,注目されるようになった.肥大した脂肪細胞からはTNFα,FFAが多量に産生・分泌され,骨格筋や肝臓でインスリンの情報伝達を障害し,インスリン抵抗性を惹起することが明らかとなってきた.
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