特集 造血器腫瘍
ひとくちメモ
ヒト化抗IL-6レセプター抗体,MRA
中原 英子
1
,
吉崎 和幸
1,2
1大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻生理病態学
2大阪大学健康体育部健康医学第一部門
pp.1485-1486
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905266
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1.MRAの構造
MRAは遺伝子組換え技術を用いてチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生させたヒト化抗インターロイキン(IL-6)レセプターモノクローナル抗体である.関節リウマチ(rheumatoid arthri-tis;RA)などの自己免疫疾患や多発性骨髄腫に対する治療薬として開発された.
MRAは214個のアミノ酸残基からなるL鎖と449個のアミノ酸残基からなるH鎖がS-S結合によって結合したH2L2タイプのヒト化抗体であり,サブクラスはIgG1である.IL-6レセプターに対するマウスモノクローナル抗体(マウス抗IL-6レセプター抗体)の抗原認識に必須の相補性決定領域(Complementarity Determining Regions;CDR)の遺伝子のみを残しそれ以外の部分をヒト免疫グロブリン遺伝子と置換してヒト化された(図1).ヒト化抗体は,マウス抗体やマウス抗体のうち可変領域のみを残しそれ以外の部分をヒト免疫グロブリンに置き換えたマウス・ヒトのキメラ型抗体に比べヒトでの抗原性が低下し,MRAに対する抗イディオタイプ抗体の出現の可能性が減少したため反復投与が可能となった.
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