Japanese
English
シリーズ-ベセスダシステム・2
パパニコロウ・クラス分類の意義と限界
Papanicolaou classification, its significance and problems
越川 卓
1
Takashi KOSHIKAWA
1
1愛知県立大学看護学部病理学
キーワード:
パパニコロウ・クラス分類
,
ベセスダシステム
,
細胞診
,
子宮頸部
Keyword:
パパニコロウ・クラス分類
,
ベセスダシステム
,
細胞診
,
子宮頸部
pp.203-208
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102239
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
パパニコロウ・クラス分類からベセスダシステムへ
パパニコロウ・クラス分類1)は,特に細胞診を専門とする人でなくても医学を学んだ人であれば誰でも知っているというほどよく知られた分類で,わが国においては長年にわたり子宮頸部細胞診を中心に細胞診全般において広く用いられてきた.一方,米国においては,すでに20年ほど前に子宮頸部細胞診の新しい報告様式としてベセスダシステムが提唱されている2,3).そのきっかけとなったのが,1987年11月2日のウォールストリートジャーナル(ニューヨークで発行されている米国の日刊新聞)に米国の子宮頸部細胞診検査の問題点が暴露された事件であった.米国ではPap test(パップ・テスト:パップはパパニコロウの頭文字をとった略語)あるいはPap smear(パップ・スメア)と言えば一般の人でも子宮頸部細胞診検査のことだとわかるほどよく知られた検査であるが,その検査で見落としが多く診断精度が低いという問題点が指摘され,社会問題にまで発展する大事件となった.
この事件が契機となって,1988年12月には米国メリーランド州ベセスダにある国立保健研究所(National Institute of Health:NIH)において子宮頸部細胞診に関するワークショップが開催されることとなったが,そこで新しく提案された子宮頸部細胞診の報告様式がベセスダシステムである.その後若干の改良が加えられて2001年には2001ベセスダシステム4)が提唱され現在に至っている.ベセスダシステムの概要については,前号(54巻1号)の坂本穆彦教授(杏林大学)の論文を参照されたい.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.