今月の主題 穿刺吸引細胞診―最近の進歩
巻頭言
パパニコロウ分類との訣別
坂本 穆彦
1
Atsuhiko SAKAMOTO
1
1東京大学医学部病理学教室
pp.5-6
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901389
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"細胞診"と"パパニコロウ(Papanicolaou)"という2つの語は,互いに重なり合うイメージを示しながら推移してきた.細胞診はパップ・テスト(パパニコロウ検査の略)と呼ばれ,また基本的な染色法はパパニコロウ染色であり,かつ鏡検による判定結果にはパパニコロウのクラス分類が用いられてきた.剥離細胞診として出発した細胞診はその臨床的意義が十分に認められ,婦人科領域のみならず呼吸器,体腔液をはじめ可能な限りのあらゆる部位,あらゆる病変からの検体採取と判定が試みられ,スクリーニングとして,また補助診断として縦横に活用されている.
その後,剥離細胞診のほかに,穿刺吸引細胞診が新たに加わるに至り,細胞診の意義は一変した.穿刺吸引細胞診の判定は従来の補助診断に止まらず,確定診断としての内容を含むものがあるためである.わが国においてそのことが公的に明記されたのは前立腺領域が最初である.
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