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はじめに
ベセスダシステム(The Bethesda System;TBS)とは,近年新たに提唱された子宮頸部細胞診における報告様式である.
わが国の細胞診における婦人科領域の検体の占める比率は極めて高く,全体の80%台であり,その多くが子宮頸部細胞診である.それだけに子宮頸部細胞診の動向が細胞診全体に与える影響は大きいものがある.
従来より,わが国における細胞診の判定はパパニコロウ(Papanicolaou)分類(表1)が標準的に用いられ今日に至っている.ただし,子宮頸部領域では,この分類に準拠しつつも,特殊化した独自のものに準拠し,クラス(class)分類と称して用いてきた(図1).これは日本母性保護医協会(現,日本産婦人科医会)が作成したので,日母分類1,2)と呼ばれている.
ところが,2008年になって日母分類の作成母体である日本産婦人科医会は,子宮頸部細胞診において今後は日母分類を廃し,ベセスダシステムを用いることを機関決定した3).それを受けて,2009年4月よりわが国の各施設では準備が整い次第,順次ベセスダシステムの導入を進めている.
筆者は2009年,日本産婦人科医会が主催した「日母子宮頸癌細胞診報告様式の改訂のためのワーキンググループ」3)の会議に,日本病理学会代表の委員のひとりとして出席した.ほかにも日本産科婦人科学会,日本臨床細胞学会,日本婦人科腫瘍学会からの代表も一同に会していたので,文字通り関連各学会あげての検討の中でベセスダシステム導入が決められた.この導入に反対した学会は皆無であった.
本稿では,新たに用いられることとなったベセスダシステムの概容について述べる.なぜベセスダシステムを導入するに至ったかについての経緯や,日母分類にどの様な問題点があったのかについての具体的かつ詳細な内容については別稿にて解説される.
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