特集 医療・福祉施設における感染制御と臨床検査
各論
2.微生物別の種類別にみた施設内感染制御
3) 真菌 アスペルギルス
大野 秀明
1
,
宮﨑 義継
1
Hideaki OHNO
1
,
Yoshitsugu MIYAZAKI
1
1国立感染症研究所生物活性物質部
キーワード:
侵襲性アスペルギルス症
,
遷延性好中球減少
,
空調管理
,
建設工事
Keyword:
侵襲性アスペルギルス症
,
遷延性好中球減少
,
空調管理
,
建設工事
pp.1381-1386
発行日 2009年10月30日
Published Date 2009/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102127
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
アスペルギルス(Aspergillus)属は,通常われわれの日常環境中に存在する真菌であり,糸状菌の一種である.このAspergillus属は,主に空中に浮遊する菌の分生子が生体に吸入されるが,器質的肺疾患や全身性免疫不全などの基礎疾患がない場合は,マクロファージや好中球により処理され,発病に至ることは稀である.しかし,前記のような基礎疾患をもつ場合は,侵襲性肺アスペルギルス症(invasive pulmonary aspergillosis;IPA)など重篤かつ致死的な感染症を合併することから,免疫不全患者などが多く集中する医療施設では細心の注意が必要となる.すなわち,いかに環境からの感染を抑えることで致死的なアスペルギルス症の発病を防ぐか,さらに発病をいかに迅速に診断するかが患者の予後を決定するうえで重要な課題となる.
本稿では医療機関などにおけるアスペルギルス症,特にIPAに主眼を置いた検査法や感染制御について概説する.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.