特集 好きになる呼吸器学―珠玉の症例集から
呼吸器診療の楽しさとは
肺真菌症,アスペルギルス症との出会いと研究
泉川 公一
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1長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科臨床感染症学分野
キーワード:
肺真菌症
,
アスペルギルス症
,
研究
,
ライフワーク
Keyword:
肺真菌症
,
アスペルギルス症
,
研究
,
ライフワーク
pp.953-955
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_953
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私が,長崎大学医学部第二内科(呼吸器内科の前身)に入局したのは,1994年(平成6年)のことで,もう28年の月日が経ったことになる.研修医時代に大学病院の呼吸器内科では多くの抗微生物薬の治験が行われていた.当時の記憶を紐解くと,慢性肺アスペルギス症で明らかなアスペルギローマを有する患者さんにitraconazoleの注射薬の投与を行った.高齢男性の陳旧性肺結核を基礎疾患にもつ患者さんや,若い女性で囊胞にアスペルギローマが形成された患者さんが候補になった.当時の治験は,中心静脈栄養下で数週間の投与といった内容で,今考えると,患者さんに多大な負担のかかる,かなり大変な治験であった.当時は,肺の空洞に大きな真菌球を有するCT所見をみて,肺のなかにあんなカビの塊がなぜ形成されるのであろうかと不思議に思っていたが,その後,アスペルギルス症の研究をライフワークにするとは夢にも思っていなかった.
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