シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・6
主として院内感染で問題となる耐性菌・5
真菌(臨床編)
掛屋 弘
1,2
,
宮﨑 義継
2
,
河野 茂
2
Hiroshi KAKEYA
1,2
,
Yoshitsugu MIYAZAKI
2
,
Shigeru KOHNO
2
1日本赤十字社長崎原爆諫早病院
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染分子病態学講座
キーワード:
院内感染真菌症
,
自然耐性
,
獲得耐性
Keyword:
院内感染真菌症
,
自然耐性
,
獲得耐性
pp.819-824
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100674
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はじめに
耐性真菌感染症は,わが国の臨床現場では,一般細菌におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)やペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae;PRSP),β-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性菌(β-lactamase-negative but ampicillin resistant; BLNAR)感染症のような問題としては取り上げられていない.しかし,欧米ではHIV感染症や免疫不全症患者に伴うアゾール耐性カンジダ症の治療が問題となっている.わが国の最近の調査によれば,幸い耐性真菌の蔓延はみられないものの,耐性真菌の頻度は低率であるが存在しており,移植医療などの増加に伴い,近い将来臨床的問題へ発展する可能性を含んでいる.
本稿では,現在わが国で使用されている抗真菌薬の特徴およびその自然耐性および獲得耐性真菌について述べる.また2003年に行われたわが国の多施設サーベイランスの結果を概説し,その結果をもとに耐性真菌を考慮したエンピリック治療について論述する.
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