特集 ジェネラリストのためのがん診療エッセンス
【各論―知っておきたい7大がん】
子宮がん
沖 明典
1
,
吉川 裕之
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学 産婦人科
キーワード:
HPV
,
Rb
,
p53
,
ウイルス発がん
Keyword:
HPV
,
Rb
,
p53
,
ウイルス発がん
pp.894-899
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101815
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
子宮がんとは
「子宮がん」(J1)とは子宮にできる悪性腫瘍を指すが,本邦のみで使用する用語で英訳はできない.uterine cancerは「子宮がん」ではなく,子宮体がんを意味する.産婦人科では子宮頸部に発生する子宮頸がん(cervical cancer)と子宮体部に発生する子宮体がん(endometrial cancerもしくはuterine cancer)を明確に区別している.一般に“子宮がん検診”というと従来は子宮頸がん検診のことを指して呼ばれていた.近年子宮体がんの増加傾向が認められており,この検診に子宮体がん検診が組み入れられるようになって,現行の“子宮がん検診”は名実ともに子宮頸がん・子宮体がん検診となっている.組織学的にみると,子宮頸がんは腟から子宮頸部に連続する扁平上皮が子宮頸管腺に移行する扁平上皮円柱上皮移行帯(squamo-colummner junction:S-C junction)付近で発生するとされ扁平上皮癌が多数を占めるのに対して,子宮腔内は子宮内膜腺組織で覆われており,これを発生母体とする子宮体がんの大多数は類内膜腺癌が多いという特徴がある.これら両者の疫学因子や生物学的な特徴,診断法,治療法などには全く異なるものがあり,同一に話をすることができないのである.しかし,お互いの特徴を比較対照しながら論ずることによりそれぞれの特徴が浮かび上がることを期待してみよう.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.