今月の主題 自己免疫疾患の診断
総説
膠原病の免疫異常と自己抗体産生のメカニズム
髙崎 芳成
1
Yoshinari TAKASAKI
1
1順天堂大学医学部膠原病内科
キーワード:
自己抗原
,
自己抗体
,
抗原提示
,
Toll-like receptor
Keyword:
自己抗原
,
自己抗体
,
抗原提示
,
Toll-like receptor
pp.497-503
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101592
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膠原病の発症には遺伝および環境要因が関与し,それらによって自己免疫が誘導され,結合組織に炎症が起こると考えられている.自己抗体の出現はこの膠原病の代表的な免疫異常の一つであるが,その産生にも両因子が互いに絡み合いながら深く関与している.環境因子としてはウイルスを中心とする感染症,化学・物理学的刺激,妊娠・出産やストレスなどがあり,遺伝的要因としてはMHC(major hisocompatibility complex)をはじめとする免疫応答の要となる分子や,種々の生体内物質の遺伝子異常の関与が示唆されている.個々の患者の有する遺伝的な素因のうえに,上述の環境因子が作用し,自己抗原に対する免疫応答が誘導されると考えられているが,最終的な自己抗体の産生には抗原の構造・機能に関連しながら抗原自体の特異的な刺激が重要な役割を演じていると考えられる.
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