今月の主題 平衡機能検査
話題
自覚的視性垂直位(SVV)
國弘 幸伸
1
Takanobu KUNIHIRO
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科
キーワード:
subjective visual vertical
,
平衡機能検査
,
耳石器
Keyword:
subjective visual vertical
,
平衡機能検査
,
耳石器
pp.1483-1486
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101821
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1.はじめに
自覚的視性垂直位(subjective visual vertical)は「SVV」と呼ばれることが多い.本稿でもSVVおよびSVV検査という呼称を用いる.SVVではなく自覚的視性水平位(subjective visual horizontal;SVH)を測定している施設もあるが,SVVとSVHとの間に本質的な違いはないと考えられる.
SVV検査の主たる目的は,耳石器,前庭神経,および中枢での重力認知経路の機能評価をすることである.耳石器機能検査としては,SVV検査のほかに,偏垂直回転(off-vertical rotation)検査,偏心性回転(eccentric rotation)検査,直線加速(linear translation)検査などの頭部に加速度を加える方法や眼球回旋(ocular torsion)を測定する方法などがある.また,最近は,前庭誘発筋電位(vestibular evoked myogenic potential;VEMP)検査も注目されている.SVV検査が卵形囊およびその中枢投射路の機能検査と考えられるのに対して前庭誘発筋電位検査は球形囊およびその中枢投射路の機能を反映する.
SVV検査の特長は,大がかりな器具を必要とせず短時間に行えるということである.また加速度などの刺激を被験者に加える必要がない.本稿では,SVVの測定方法,SVVに影響を与える諸要因および,めまい・平衡機能検査としてのSVV検査の意義について概略を述べる.
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