特集 ホルモンの病態異常と臨床検査
各論Ⅰ ホルモンの病態異常と検査
1.下垂体前葉
6) ソマトスタチン
島津 章
1
Akira SHIMATSU
1
1独立行政法人国立病院機構京都医療センター臨床研究センター
キーワード:
ソマトスタチン
,
ソマトスタチノーマ症候群
,
神経内分泌腫瘍
Keyword:
ソマトスタチン
,
ソマトスタチノーマ症候群
,
神経内分泌腫瘍
pp.1203-1207
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101755
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構造1)
ソマトスタチン(somatostatin;SRIF)は1973年Brazeauらにより,ヒツジ視床下部抽出中に存在する成長ホルモン(growth hormone;GH)分泌抑制因子として単離・構造決定されたペプチドホルモンである.ソマトスタチンには3,14位のシスチン残基間のS-S結合による環状構造をもつ14個のアミノ酸残基からなるソマトスタチン-14とソマトスタチン-14のN末端側にArg-Lysの塩基性ジペプチドを介して14個のアミノ酸が連結しているソマトスタチン-28の2種類が知られている.生物活性部位がある環状構造の一部を残し,他のアミノ酸を分解されにくいものに変換して血中半減期を著明に延長させたソマトスタチン誘導体が,臨床で頻用されているオクトレオチドである(図1).Yamadaら2)によりソマトスタチン受容体のクローニングが初めて報告され,現在5つの受容体サブタイプが存在する.
ソマトスタチンと類似した環状構造を示すペプチドとしてコルチスタチン3)が同定された.コルチスタチンはソマトスタチン受容体サブタイプのすべてに結合するが,中枢神経系や免疫細胞に主に存在して,ソマトスタチンとは異なる生物活性を示すと考えられる.
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