今月の主題 新しい糖尿病の臨床
トピックス・病態
ソマトスタチン
櫻井 英雄
1
1京大第2内科
pp.510-511
発行日 1978年4月10日
Published Date 1978/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207828
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構造・作用・分布
ソマトスタチンは,1973年Brazeauらによってヒツジの視床下部から,成長ホルモン(GH)分泌抑制因子として抽出・精製された物質で,14個のアミノ酸から成り,図1に示すように,S-S結合を持つ環状のポリペプチドである.ソマトスタチンは発見後間もなく直ちに合成され,単にGHのみならず,TRHによるTSH分泌を抑制することが知られた,その後,ある種の条件下で,ACTH,プロラクチン,レニンなどのほか,ガストリン,セクレチン,モチリンなどの消化管ホルモン分泌を抑制することが報告されている.また,Albertiらは、ソマトスタチンがインスリン分泌を抑制することを見出した.一方,Koerkerらが,ヒヒでグルカゴン分泌をも抑制することを報告して以来,本物質と膵内泌機能との関係が注目されるようになった.
その後,Arimuraら,Duboisらによって,ソマトスタチンに対する抗体が作製され,これを用いた螢光抗体法,あるいはradioimmunoassayによって,ソマトスタチンは視床下部のみならず,中枢神経系や膵,胃,腸などにも分布していることが明らかにされ,現在では,従来のホルモンとは異なった,新しいホルモン様物質あるいは一種のneurotransmitterであると理解されるようになった.
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