Japanese
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特集 脳の化学的トポグラフィー
ソマトスタチン
Somatostatin
川野 仁
1
,
大黒 成夫
1
Hitoshi Kawano
1
,
Shigeo Daikoku
1
1徳島大学医学部第2解剖学教室
pp.188-191
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904853
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最近15年ほどの間に続々と数多くのペプチド性生物活性物質が生体から単離され,構造が明らかにされている。これらを用いて特異性の高い抗体が得られた場合,ラジオイムノアッセイや免疫組織化学的手法により,抗原の生体内分布や含量が調べられ,機能的役割が論議されることとなった。その結果,ほとんどのペプチドが最初に抽出された組織以外にも生体内に広く分布することが知られ,脳・腸ペプチドのような概念も生まれている。すなわち,脳内にあるペプチドが腸管系に見出され,また,その逆も知られてきたからである。ソマトスタチンはそのようなペプチドの一つであり,最初下垂体GH分泌を抑制する神経ホルモンとしてヒツジ視床下部より単離された1)が,脳内に広く分布することが明らかにされたのみならず,腸管系,とくに膵島にも存在することが知られた(表1)2,3)。脳におけるソマトスタチンニューロンは大脳皮質,大脳辺縁系,脳幹,脊髄などにも存在する4,5)ので,このものは向下唾体性ホルモンのみならず,神経伝達物質としてさまざまな神経機構に関係していると考えられる(図1)。
本稿では,最初にソマトスタチンが抽出された視床下部におけるニューロン系に焦点をあてて,この物質の視床下部内における役割を考察したい。
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