今月の主題 アルツハイマー病の最近の進歩
巻頭言
アルツハイマー病の核心に迫る
田平 武
1
Takeshi TABIRA
1
1国立長寿医療センター研究所
pp.251-252
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101544
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アルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)は高齢者に起こる認知症の中で最も高頻度にみられ,65歳以上の高齢者の5~7%が本症に罹患していると推定されている.その頻度を年齢階層別にみると,加齢とともに幾何級数的に増加することが示されている.すなわち,ADは加齢が最も重要な危険因子となっており,遺伝因子や環境因子が複雑に絡み合って発症すると考えられる.
アルツハイマー病の脳病変で最も特徴的であるのは老人斑であり,老人斑にはβアミロイドが沈着している.また,神経細胞の中には神経原線維変化が見られ,認知症の発症との相関が示されている.しかし,アルツハイマー病変の出現の経過からアミロイドの沈着が神経原線維変化の上流に存在すると考えられ,アミロイドを標的とする診断法,予防法,治療法の開発研究が行われている.
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