Japanese
English
特集 加齢の克服―21世紀の課題
第2部 総説
Ⅱ.病的老化
アルツハイマー病のワクチン療法
Vaccination therapy for Alzheimer's disease
田平 武
1
Takeshi Tabira
1
1国立療養所中部病院長寿医療研究センター
pp.455-460
発行日 2002年10月15日
Published Date 2002/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902434
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
アルツハイマー病の脳では老人斑と神経原線維変化,それに神経細胞の変性・脱落がみられるのが特徴である。中でも老人斑に沈着するβアミロイドは病態形成の中心的役割を果たしていると考えられ,アルツハイマー病の発症機序の解明,予防・治療法の開発はβアミロイドを中心に研究が進められてきた。その中から,脳に老人斑を形成するマウスをβアミロイドの主成分であるAβペプチドで免疫すると,すでに沈着したβアミロイドが除去され,新たな沈着が防止されることがわかり,ワクチン療法という概念が生まれた。ワクチン療法というのはウイルスや細菌感染に対し,当該抗原であらかじめ人為的に免疫記憶を成立させ,感染に対する免疫防御機構を強化する手段であり,用語としては正しくないが,ここでは第一開発研究者が用い,また一般的に広く用いられているので,ワクチン療法という言葉を使う。以下,アルツハイマー病のワクチン療法について,ヒトへの応用結果,将来の展望を含め解説する。
Copyright © 2002, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.