特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
4.遺伝子分析―リスクファクターの推定
7) メタボリックシンドローム (1)糖尿病
矢藤 繁
1
,
山田 信博
1,2
Shigeru YATOH
1
,
Nobuhiro YAMADA
1,2
1筑波大学人間総合科学研究科内分泌代謝・糖尿病内科
2筑波大学附属病院
キーワード:
HLA
,
TCF7L2
,
MODY
,
ミトコンドリア糖尿病
Keyword:
HLA
,
TCF7L2
,
MODY
,
ミトコンドリア糖尿病
pp.1579-1583
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101470
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はじめに
糖尿病は古くから,「遺伝的素因」と「環境因子」が合わさって発症すると言われてきた.「遺伝的素因」とは,まさしく「糖尿病になりやすい遺伝的背景」のことであり,疫学的に糖尿病は強い家族内集積性が認められるため,その存在が推測されていた.最近はこの分野の研究の進歩は目覚ましく,糖尿病発症のリスクファクターと考えられるような遺伝子異常・多型が見つかってきており,本稿では現時点での知見を紹介したい.
ただし,糖尿病の発症においては,「環境因子」に常に留意する必要があることを忘れないでいただきたい.「環境因子」とは,食事や運動などの生活習慣が糖尿病の発症に大きな影響を与えるということである.「環境要因」がなくても糖尿病を発症すると考えられる遺伝子異常・多型はインスリンやその受容体の遺伝子異常による糖尿病やMODY(後述)の一部など非常に限られている.糖尿病の成因分類(表1~4)に沿って,遺伝的リスクファクターに焦点を当てて解説する.
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