今月の主題 ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)と子宮頸癌
トピックス
HPVワクチン開発の現況
井上 正樹
1
Masaki INOUE
1
1金沢大学医学系研究科産婦人科学
キーワード:
HPV
,
prophylactic vaccine
,
virus like particle
Keyword:
HPV
,
prophylactic vaccine
,
virus like particle
pp.867-873
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101274
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1.はじめに
子宮癌は古くから性との関連が強いことが疑われ,ビーナス病の1つとして考えられてきた.原因として種々のものが想定され検証されてきたが,実証には至らなかった.20世紀後半の分子生物学の技術的進歩を背景として,1983年zur Hausenらによって子宮頸部癌組織にHPV(human papillomavirus)16型ゲノムが高率に存在することが報告され,原因ウイルスとして急速に注目された1).そして,多くの研究者がHPV研究に参画し,疫学研究や分子レベルの基礎研究が進められ,HPVが子宮頸癌の原因ウイルスであることが明確になった2).今日,これらHPV研究の成果は臨床現場で生かされようとしている.癌検診への導入や予防的ワクチンの開発である.子宮頸部癌の撲滅が現実のものとなりつつある.医学の進歩による素晴らしい成果といえよう.
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