今月の臨床 ここまできた分子標的治療
分子標的治療の臨床応用
3.HPVを分子標的としたワクチン開発
井上 正樹
1
1金沢大学医学系研究科産婦人科学
pp.1262-1269
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101584
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はじめに
子宮癌は古くから性行為との関連が疑われ媒体となる種々のものが想定され検証されてきたが,実証には至らなかった.20世紀後半の分子生物学の技術的進歩を背景として1983年,zur Hausenらによって子宮頸部癌組織にHPV(human papillomavirus)16型ゲノムが高率に存在することが報告され,原因ウイルスとして急速に注目された1).そして,多くの研究者がHPV研究に参画し,疫学研究や分子レベルの基礎研究が進められHPVが子宮頸癌の原因ウイルスであることが明確になった2).今日,これらHPV研究の成果は臨床現場で生かされようとしている.がん検診への導入やワクチンの開発である.子宮頸部癌の撲滅が現実のものとなりつつある.医学の進歩による素晴らしい成果といえよう.
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