今月の表紙 腫瘍の細胞診・7
卵巣腫瘍―1
籏 ひろみ
1
,
海野 みちる
2
,
坂本 穆彦
2
Hiromi HATA
1
,
Michiru UMINO
2
,
Atsuhiko SAKAMOTO
2
1杏林大学病院病院病理部
2杏林大学医学部病理学教室
pp.666-668
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101258
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
卵巣腫瘍の組織分類は,発生母地による分類と,悪性度による分類が用いられている.発生母地による分類は,①表層上皮性・間質性腫瘍,②性索間質性腫瘍,③胚細胞腫瘍,④その他に分けられる.発生頻度は,表層上皮性・間質腫瘍が全腫瘍の60~70%を占め最も高く,次に胚細胞腫瘍の30%,性索間質性腫瘍の6%,その他の4%と続く.
悪性度による分類には,良性と悪性の中間群として境界悪性borderline malignancy(低悪性度腫瘍,tumor of low malignant potential;LMP)が存在する.境界悪性腫瘍の組織学的特徴は,①上皮細胞の多層化,②腫瘍細胞集団の内腔への分離増殖,③同一細胞型における良性と悪性の中間的な核分裂活性と核異型,④間質浸潤の欠如などである.本稿では普段経験することの多い表層上皮性・間質腫瘍について述べる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.