今月の表紙 代表的疾患のマクロ・ミクロ像 悪性腫瘍・8
卵巣腫瘍のマクロ像・ミクロ像
海野 みちる
1
,
小松 京子
2
,
坂本 穆彦
1
Michiru UMINO
1
,
Kyoko KOMATSU
2
,
Atsuhiko SAKAMOTO
1
1杏林大学医学部病理学講座
2杏林大学医学部・付属病院病理部
pp.848-852
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102371
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卵巣癌は自覚症状がほとんどなく,腹部圧迫感や鈍痛などを主訴に来院し,診断された時点で進行期分類(表1)がすでにIII期やIV期の進行癌で発見されることが多く,予後不良の腫瘍である.胸・腹水や術中洗浄液ないしは腫瘍表面擦過など,細胞診の結果が卵巣癌の進行度の判定に深くかかわっている.
卵巣腫瘍は発生母地と悪性度により分類されている.発生母地による分類は表層上皮性・間質性腫瘍,性索間質性腫瘍,胚細胞腫瘍に分けられ,悪性度による分類は良性腫瘍,境界悪性(低悪性度腫瘍),悪性腫瘍に分類されている(表2).嚢胞性腫瘍は良性のことが多く,充実性腫瘍の約80%が悪性もしくは境界悪性腫瘍である.
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